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離婚の基礎DIVORCE

離婚の基礎知識

「離婚の種類」

■協議離婚
夫婦が話し合いで離婚に合意し、市区町村役場に離婚届を提出し、受理されれば協議離婚が成立します。
未成年の子供がいる場合は親権者を決める必要がある。離婚の約90%を占める。

■調停離婚
夫婦の話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。調停委員が間に入り、話し合いによる解決を目指します。
日本では「調停前置主義」が採用されており、いきなり裁判をすることはできず、必ず離婚調停が必要になります。
調停で両者の合意がとれれば、調停調書が作成され、離婚は成立します。調停の場合でも離婚届は出さなければなりません。
審判離婚というものもあるが、実例としてはほとんどない。

■裁判離婚
調停が不調に終わった場合、離婚したい側は家庭裁判所に離婚訴訟を起こします。裁判離婚では、民法に定められた5つの理由にあてはまらないと離婚が認められません。
 (以下の5つ)
 @配偶者の不貞行為
 A配偶者の悪意による遺棄(扶助義務、同居義務違反)
 B配偶者の生死が3年以上不明
 C配偶者が強度の精神病で、回復の見込みがない
 Dその他、婚姻を継続しがたい重大な事由がある
  ・性格の不一致
  ・性の不一致
  ・配偶者の親族との不和
  ・暴行、虐待行為
  ・宗教活動   など

「財産分与・慰謝料」

     

■婚姻費用の請求
別居期間中でも、夫婦間の協力扶助義務あるいは婚姻費用分担義務(夫婦生活を送る上で必要な費用の分担)に基づいて相手に生活費を請求できます。
費用は、子供の養育については自分と同じ程度の生活レベルを保障することになっています。
夫婦間の場合は、夫婦関係の破綻の程度、破綻に対する責任の有無によって分担の程度がかわってきます。例えば、妻が愛人のもとに行って別居生活をしている、といった場合は、夫は生活費を支払う必要はありません。(有責性が妻にある)
夫の暴力がひどく、別居せざるを得ない、という場合は夫は妻に生活費を支払う義務があります。
婚姻費用分担の額が話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所に申し立て、調停で決める。

■財産分与
婚姻中に夫婦で築いた財産(共有財産)の清算。
離婚原因がある側からも請求可能。年金は分割されます。
現実の財産分与の支払いは、慰謝料と合算する場合もあります。
普通のサラリーマンで、財産分与と慰謝料を合わせて100万〜400万円程度が典型的。
額が相当と判断される場合は、贈与税は一切かからない。
不動産を財産分与した場合は、贈与した側に譲渡所得税がかかる場合があります。
結婚前に蓄えていた財産や結婚中でも自分の親などから相続した財産は、固有資産となり財産分与の対象からはずれます。
特に熟年離婚では婚姻期間が長い分、財産分与の額も大きくなるので離婚の争点になりがち。特にもめるのは、年金と退職金。
財産分与は離婚後に請求することもできるが、財産分与請求権は2年以内に行使しなければ消滅してしまう。

■年金分割
離婚時に厚生年金が分割される。国民年金や厚生年金基金、確定給付付企業年金の分は、分割されるということはありません。
離婚時年金分割は以下のルールで分割されます。
@平成20年3月31日までの婚姻期間中の分については、保険料納付記録が当事者の同意または裁判所の決定で分割される。
A平成20年4月1日以降の分については、自動的に2分の1に分割される。
例えば、平成10年4月1日に結婚して、平成22年1月30日に離婚した場合、平成10年4月1日〜平成20年3月31日の分については、当事者の同意で按分され、平成20年4月1日〜平成22年1月30日までの分については、自動的に2分の1に分割される。
按分割合に合意したら、社会保険事務所に厚生年金の分割請求をする。按分割合の上限は50%、下限は分割を受ける側の分割前の持ち分に当たる部分。
分割請求は離婚から2年以内にしなければならない。なお、家庭裁判所で決める場合、年金分割の按分割合はほとんどが半分となっている。

【内縁関係の場合】
内縁は結婚の意思が双方にあり、実質的に夫婦同然の生活をしている状態にある夫婦をいい、単に婚姻届を出していないカップルのことをいいます。
今日では、内縁関係を婚姻に準じる関係として、婚姻に関する民法の規定が準用されている。「夫婦の同居義務」「協力義務」「扶助義務」の規定は適用される。
内縁関係の解消の場合、その損害を補填するために、財産分与の請求が認められている。責任が一方にある場合には、相手方に慰謝料の請求もできる。

■慰謝料
精神的損害に対する償い。損害賠償。
離婚原因を作った側(有責配偶者)が支払う。贈与税はかからない。
離婚原因が夫婦のどちらにもあったり、どちらにも離婚原因がないという場合は発生しない。
慰謝料も離婚後に請求することもできるが、請求権は3年で時効により消滅する。
協議離婚の場合の慰謝料の金額に決まりはないが、裁判の場合、離婚原因が不貞や暴力の場合は300〜500万円、それ以外の理由の場合は100万〜200万円の範囲内で設定される例が多い。

■養育費
妻が子の親権者になり、引き取る場合など、子の養育費を請求できる。養育費を決める法律上の特別の基準はないので、話し合いにより自由に決めることができる。贈与税などの税金がかかることはありません。
離婚によって、一方だけが親権者や監護者になるが、他方が親でなくなるわけではないので、離婚する相手がいくら憎くても、子に対する扶養の義務を免れるものではありません。また扶養のレベルも恣意的に決定できるものではありません。
養育費の要求は親権者または監護者が子に代わって、扶養請求権を行使することであり、母親に経済力がなければ、父親が全額負担します。子一人で月額2〜4万円の養育費の例が多い。
養育費は父母の協議で決めるのが原則だが、決まらない場合は、家庭裁判所に申立をして、調停か審判で決めます。調停では「養育費の算定表」の基準に従った取扱がされることが多い。また、養育費は経済情勢の変化や特別な事情が発生した場合などに協議によって変更することもできます。協議がまとまらないときには家庭裁判所の審判で定める。

【養育費などの支払いの確保】
約束した養育費は債権であり、どう支払わせるかは、債権一般の取り立てと共通。支払いが滞った場合なども同様。だだ、養育費については、家庭裁判所に申し立てて履行を確保する方法があります。
@「履行勧告」
強制力はないが、家庭裁判所の勧告なのでかなり効き目がある。
A「履行命令」
支払いの履行に怠りがあるときは、家庭裁判所は義務者の陳述を聞き、履行の命令をする。
正当な理由なく命令に従わない場合は、過料の制裁がある。
B「家庭裁判所への寄託
家庭裁判所が支払い義務者からの支払い金を預かって保管し、受取人に通知して払う制度で、当事者同士の交信を避けることができる。この制度を利用するには、当事者同士の同意がなければならない。
C強制執行
審判や調停調書は判決と同様の効力を有し、養育費の請求権により、強制執行できる。
勤務先が判明すれば、給料などについて、継続的な強制執行ができる。ただし、いきなり給料の差し押さえをすると、相手が会社にいづらくなってしまうので、まずは「履行勧告」「履行命令」を出してもらったほうがよい。

※養育費回収のための給与差し押さえについて※
従来は、支払期日を経過した過去の滞納分しか差し押さえができなかったが、現在は、一度でも滞納があれば将来の養育費分もまとめて差し押さえができ、さらに差し押さえ可能限度枠も2分の1までになった。

「子どもの問題」

     

離婚をする場合は必ずどちらか一方を親権者に決めなければならない。協議離婚の場合は、離婚届の親権者記入欄に記載がないと受理されません。
調停離婚の場合は、調停で親権者も決められ、調停調書に記載される。裁判離婚の場合は離婚の判決と一緒に裁判所が親権者についても決定します。
子供が15歳以上の場合は、裁判所は子供の意見を聞いた上で親権者を決めます。
子供が成人の場合は、親の親権に服することがないので親権が問題になることはない。また、子供が結婚すれば親権の対象にならない。

■親権について
親権は法律的に未成年の子に対する「身上監護権」と「財産管理権」に分けられる。
「身上監護権」は子供の教育や身の回りの世話をしたり、しつけ・教育をしたりすること。
「財産管理権」は子供に財産があれば、それを管理すること、子供が法律行為をする必要がある場合に、子供に代わって契約などの法律行為をすること。

■面接交渉権
離婚により親権者とならなかったものでも、親であることは変わることがない。そのため、離婚後も子供と会ったり、手紙や電話で子供と接触する「面接交渉権」がある。
面接交渉権は法律で規定されている権利ではないが、家庭裁判所の実務上認められている。
離婚の当事者間で面接交渉権について話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停・審判で面接の適否や方法について具体的に決めてもらうことができる。
裁判所で決まった面接交渉を守らないときは、家庭裁判所に履行の勧告をしてもらえる。それでも守らない場合は、履行命令を申し立てる。従わない場合は10万円以下の過料。
また、間接強制を申し立てる方法もあり、その内容は「1ヶ月に一回は面接せよ、違反した場合はその都度10万円を支払え」といったものになる。

■離婚後、親権を代えたい場合
離婚後、親権者の変更をする場合は、親権者ともう一方の親との間の協議ができたとしても、それだけでは変更することができず、必ず家庭裁判所で変更の調停または審判をしてもらわなければなりません。
親権者を変更できるのは、家庭裁判所が「子の利益のために必要であると認めるとき」で、簡単に変更できるものではありません。監護者の変更も同様です。

■監護者の指定
例えば、離婚で、親権者を父親にしておいて、母親を監護者にするという方法もあります。親権は父親に渡すが、成人になるまで母親が引き取って育てるということができます。
監護の内容について、夫婦間で話し合いがつかないという場合は、家庭裁判所に「子の監護者の指定の調停申し立て」をして決めてもらうことができる。

「戸籍について」

     

■離婚後の「氏」
婚姻により氏を改めた者は、離婚により復氏するか、3ヶ月以内に届出をして離婚の際の氏を称するか選択できる。
「離婚の際に称していた氏を称する届」は協議離婚の場合は離婚届受理の日から3ヶ月以内ですが、裁判離婚の場合は判決確定の日から3ヶ月以内になります。
離婚後も婚姻中の氏を称したいということにつては、何ら理由は必要ない。
統計では、旧姓に戻る人が約6割、婚姻中の姓を名乗る人が約4割。

■離婚後の「戸籍」
離婚により、復氏して婚姻前の戸籍に戻るか、新しい戸籍を作るかの選択ができる。
戸籍には夫の場合、夫の欄に「○年○月○日妻○○と協議離婚届出」と記載され、妻の欄に「○年○月○日夫○○と協議離婚届出 同日戸籍法七十七条の二の届出 ○県○市・・・に新戸籍編成につき除籍」と記載され、妻の名前に×印がされ、抹消される。

■子供の氏
離婚により、夫の戸籍には夫と子供が残り、妻は婚姻前の戸籍に戻るか、別に新しい戸籍を作ることになります。
婚姻中「佐藤」と名乗っていた妻は、離婚により「鈴木」に戻ることにしたが、子供は夫の戸籍に残ったままで、母親が親権者であっても、母親と一緒の戸籍に載ることはありません。
もし母親が、子供にも自分と同じ姓を名乗らせ、自分の戸籍に入れたいのなら、家庭裁判所に「子の氏の変更許可の審判」の申し立てをする必要があります。
この申し立てはほとんどその日のうちに迅速に処理されます。ただし、母親が親権者になっていない場合は、母親の側からこの審判の申し立てをすることはできません。
子が15歳以上になれば、親権者でなく、子自身が「氏の変更許可の審判申立」をすることができます。

■内縁関係の場合
内縁関係の間で生まれた子は、父が自分の子であることを認める「認知届」を市区町村役場の戸籍係に届けないと、法律上の親子関係は生じません。
認知届が出されないと、子は母の親権に服し、母の姓を名乗り、母の戸籍に入ります。
認知届が出されれば、父と子の法律上の親子関係は認められ、相続する権利や養育費の支払いを認めることができるようになります。
認知があっても、当然に父の姓を名乗れるようになるわけではなく、家庭裁判所に「氏の変更許可の申立」を行わなければなりません。

■再婚後の問題
女性の場合には、離婚してから6ヶ月間は再婚ができません。これは、離婚した妻がすぐに再婚して子供が生まれた場合、前の夫か再婚した夫の子かわからなくなるからです。
離婚から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定され、妻が懐胎した子は夫の子と推定すると規定されています(たとえ前の夫の子ではなくても)。
真実の父が自分の子として認知を望んでいても、前夫の子として入籍される。前夫は自分の子ではないと思う場合は、「嫡出子否認の訴」を家庭裁判所に提起できます。
客観的にどちらの夫かわからなくなる心配がない場合は、6ヶ月再婚を待つ必要はありません。
具体的には以下の場合。
@離婚が成立する前に懐胎していた場合
A離婚した夫とよりが戻って再婚する場合
B法定の離婚原因である夫の3年以上生死不明を理由とする離婚判決により離婚する場合
C妊娠不能という医師の証明書を添えて届け出た場合

離婚前に直系姻族であったものとは再婚できません(夫の親など)。この禁止は道徳的な理由によるものです。

「配偶者が外国人・外国での離婚」

夫婦の一方が生活の本拠を日本においている日本人である場合、必ず日本法が適用される。つまり、日本人配偶者が日本で生活していれば、外国人配偶者がどこの国の人でも必ず日本法が適用されます。

■協議離婚は日本・韓国・中国
協議離婚の制度を取っているのは、日本・韓国・中国など少数。
これら協議離婚の制度を取っている国では日本の協議離婚を有効なものとして認めています。
それ以外の国に帰国する可能性がある場合は、本国でも離婚が有効に成立したと認められる離婚手続を取った方がよい。
裁判を通した離婚(調停・判決)をする方がよい。

■外国で離婚する場合
日本人夫婦が外国で離婚する場合、必ず日本の法律が適用されます。
その国にある日本の大使・公使・領事に対して協議離婚届をするか、もしくは日本の本籍地へ直接協議離婚届出書を郵送してもよい。
協議で離婚が決まらなければ、裁判所を通して離婚するしかありません。その際、日本法が適用されるとは限らず、その国の法律が適用されることもあります。
外国で日本人と外国人の夫婦が離婚する場合、夫婦の生活の本拠がその国であれば、その国の法律が適用されることになります。



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